
新海誠さん原作・脚本・監督作品。
ショートアニメーションですな。 内容は小説のほうと同じ。
映像のほうが先だったようなので、小説のほうがディテールにこだわってる感じがしました。
空気感の再現性に関しては映像も同じで、とても素晴らしかった。
映像って文字よりもダイレクトだから、それがよくもあり、無粋だったり……。
まぁ、それぞれなんだけども。
ストーリーのことに触れるとネタバレしてしまう可能性が大きいので書けませんが
「ハッピーエンド」についてちょっとだけ書いておきます。
主人公とヒロインがラストで結ばれるのが一番わかりやすいハッピーエンドだけど
そうじゃないハッピーエンドもあるのかもしれないですね。
「結ばれないほうが幸せ」ってのもあるのかもしれない。
いや、結ばれなくても、今その人が幸せだったら、それ以上もそれ以下もないのかも。
究極の比較が映画「サウンド・オブ・サイレンス」みたいな終わり方かな。
「サウンド・オブ・サイレンス」の場合は、望んだ結婚じゃなかったから純粋なハッピーエンドなのかもしれないけど。
お互いが望んで「結婚式を挙げよう!」ってときに、いくら過去一番愛した相手が現れようとも
それで結婚式をボイコットしなくても、それはそれでハッピーエンドじゃないのかな。
映画「秒速5センチメートル」のラストのシーン。
あの時彼が振り向いてたら……もしかしたら変っていたのかもしれない。
でも、たぶんあれでよかったんだよね。
それとこれも特筆しとこっかな。
主題歌「One more time, One more chance」の歌詞について。
これ以上何を失えば 心は許されるの
どれ程の痛みならば もう一度君に会える?
one more time 季節よ移ろわないで
one more time ふざけあった時間よ
食い違うときはいつも 僕が先に折れたね
わがままな性格が なおさら愛しくさせた
one more chance 記憶に足を捕られて
one more chance 次の場所を選べない
いつでも探しているよ どっかに君の姿を
向かいのホーム 路地裏の窓
こんなとこにいるはずもないのに
願いがもしも叶うなら 今すぐ君のもとへ
できないことは もう何もない
すべてかけて抱きしめてみせるよ
歌詞の通りです。
ぼくも気がつけばよく、いるはずもないところで
いるはずのない人の影を探したりします。
向かいのホームだったり
アパートのドアの前だったり
よく待ち合わせした、四ツ谷駅の改札だったり
でも、やっぱりいないんですよね。
そんなときの気持ちが、この曲にも映像にも、とてもよく表れてて
「春の冷たい風を感じながら、胸がクシャと締め付けられる」
って感じの映画でした。