大崎善生さんの著書。
自分の恋人がもうすぐ病気で死ぬと知ったとき、
ぼくだったらどんな風に思い、どのように行動するだろう。
確実に訪れる永遠の別れ。
残された人たちにの心を支配する「思い出」という名の呪縛。
ぼくだったらきっと耐えられない。
恋人がいくら生き続けることを望んでも
いくら一緒に逝くことを拒んだとしても
ぼくに、少なくとも今のぼくには独りで生きていく自信はない。
大切なヒトを亡くして、現実から目を逸らさずに
生き続けるなんて想像すら出来ない。
この物語の主人公は、恋人の死に正面から立会い、
一度萎れたアジアンタムの葉が力強く再生していくように前を向いて歩き出す。
彼が歩き出せたのは、はたして呪縛から開放されたからなのか
それとも、呪縛とともに歩むことを選んだのか…。
男性側の視点だから、結構感情移入できました。